事務用孔版印刷機の普及の歴史

1.はじめに、身近な印刷機として普及したのはガリ版印刷機でした。

それ以前にこんにゃく版とか転写形式の印刷機はありましたが
印刷できる枚数が30枚くらいまででした。

ガリ版印刷機(謄写版)は原型は19世紀後半トーマスエジソンによって
原型が出来、19世紀末に堀井氏が謄写版と売り出したのが始まりです。

謄写版の印刷形式としては孔版印刷になります。

ロウでコーティングされた和紙(ロウ原紙)をヤスリ版の上に置き、金属の鉄筆で文字を書き、
点線状の穴を開けます。
そのロウ原紙をきぬを張って出来た絹枠に貼り付け、うえから油性のインクを
付けたローラーで押しつけ回転させながら下の紙に印刷しました。
上手な職人さんは一枚のロー原紙で何千枚も印刷できたそうです。
ロウ原紙には文字を書きやすいように方眼や原稿用紙のパターンが印刷されておりました。
マスの大きさも3mm、3.5mm、4mm、5mm。原稿系・プリント系も縦、横あり
すごい数の種類がありました。

使用するヤスリの目の大きさもA、B,Cとあり、ヤスリの目も方眼と斜眼があります。
ヤスリは裏表が使用でき、裏と表違った目と大きさを自由に選ぶことが出来ました。
例:方BXC(ホウビーシャーシー)

謄写版は小型で一体型の中にローラーも絹枠もセットしてあり、どこにでも持ち運べる
優れものでした。

ロウ原紙は代表的な製造元として四国原紙、黒潮原紙、美濃原紙などがありました。


初代謄写版



ヤスリ版

2.次に登場してきたのが、回転式手動謄写印刷機です。
ロウ原紙をインクがしみこませてあるネル地のローラーの周りに巻き付け、回転することにより、
紙を一枚ずつ送り1回転で1枚の印刷が出来るようになり、1分間で200枚の印刷も可能でした。

ローラーにしみこませてあるインクの量に左右されますが、300枚から500枚の印刷が可能で、
各学校・官庁・筆耕屋さん等に広く普及するようになります。

メーカーとしてはトーマス、ニタカ、セイキ等で作られました。

3.このころから海外のメーカーから孔版印刷機が輸入され高価ながら普及を始めます。
ゲーハー、レックスロータリー、ゲステットナー、ロネオ製品が有名です。


ゲステットナー
4.日本でも様々な手動・電動印刷機が登場してきます。
原紙をスクリーンの爪に引っかけて回して巻き付けて回転しながら印刷します。
ホリイ、デュプロ、セイキ、トーホー、学研、サンワなどのメーカーがそうです。
インクの補給は薄くなったらポンプを押す手動タイプのものが主流でした。

原紙も、ロウ原紙の他、ボールペン原紙、タイプ原紙も需要が伸びていました。

また、製版技術も進歩し、FAX製版機で製版するFAX原紙、光の熱で製版する感熱原紙、
サーマルヘッドで製版するデジタル原紙などが登場し、紙原稿からそっくりそのまま
原紙に製版できるようになりました。

原紙を作るFAXは謄写FAXと呼ばれ、原稿をドラムの右半分に巻き、ビニールFAX原紙を
左半分に巻き、回転しながら影が出来ないように原稿に左右から2燈のランプをあてて、
原稿の白黒の反射をひろい、文字のところだけ針で放電させて孔をあける仕組みでした。
FAX製版は、原稿の濃淡を1点でひろうため、ドラムを毎分300回転くらいで回転させながら
8〜14回転で1mm進むスピードだったので、B4版原稿だと10分以上かかって製版していました。
またビニール原紙に焼き付けるため、ごげたものすごい臭いが漂う状態でした・

初期型のFAX製版機は真空管タイプで、その反射光をひろう部分も光電管といわれる部品を
使っておりました。真空管タイプのものは暖まると濃度が変わって大変でした。
その後半導体のものに変わってきます。

昭和50年代が分離型の製版機、印刷機の全盛期になります。


セイキワープリ21





FAX製版機
5.印刷機も進歩を続け、今まで製版機と印刷機が別々だったものが、一体化となり
コピーとほぼ同じような使い方が出来る全自動印刷機が登場してきました。

はじめは感熱製版タイプのもので、RISO 007がそうでした。(昭和59年8月発売)
ちょうどプリントゴッコの親分みたいなマシンでした。

少し遅れて感熱ではカーボンの含まれていない原稿以外は製版できなかったために
CCDとサーマルヘッドを使用した全自動デジタル印刷機がリコーから発売になりました。
その後リコーを始めとし、理想科学、セイキ工業、デュプロから様々な機械が発売され
現在のデジタル全自動印刷機のスタートが切られることとなります。

昭和60年代後半からは、謄写印刷機というと、この全自動デジタル印刷機を指します。

20年にわたりいろいろな機能がつき、プリンターとしてパソコン出力も出来る用になり色々な
用途に使用されております。

一時卓上オフセット印刷機も謄写印刷機と併用して使用されておりましたが、デジタル印刷機の
性能のアップと使いやすさのために、一部のところを除き事務用としては見なくなりました。

その後、同時二色印刷機や同時両面印刷機が発売になり現在に至っております。


RISO 007


同時2色印刷機

                   by プリントシステム販売株式会社

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